沖縄の難しい地名と漢字

55年 前

カネク

沖縄に多い、ヨナ・ユニの付く地名は「砂」に関係した地勢から付けられたことを以前述べました。沖縄には、ほかにも砂浜や砂地にまつわる地名があります。
「浜の砂地または低地」をあらわす「カネク」という地域が、沖縄には点在しています。

「カネク」は、カ(海)+ネク、デク(砂)で出来た言葉と言われています。「兼久」と漢字を当てられ、地域島尻郡佐敷町兼久(かねく)、中頭郡嘉手納町兼久(かねく)、中頭郡西原町兼久(かねく)、名護市大兼久(おおがねく)、大宜味村大兼久(おおがねく)、と砂浜もしくは砂地に位置する場所にその名がつけられています。 宜野湾市には我如古(がねこ)という地区があります。
我如古は海からかなり離れているので、何故この地名が?と思うのですが、昔は海岸線がもっと内陸まであったそうです(地面を掘ると砂地が出てくるらしく、地形に昔の名残があるのですね)。ここは元々の読みは「ガニク」であり、やはり「カネク」に由来するようです。
「カネク」の言葉は沖縄のみならず、北方の奄美地方まで波及しています。 奄美大島の笠利町中金久(なかがねく)、同町外金久(そとがねく)、名瀬市金久(かねく)町、大和村大金久(おおがねく)、徳之島にも天城町兼久(かねく)、とこれらも同じ由来の地名と思われます。奄美方言では砂地を「カヌィク」と呼んでおり、沖縄方言の「カネク(カニク)」と同じ語源でしょう。

沖縄には地形が由来の地名が多くあります。那覇市繁多川(はんたがわ)、具志川市繁多原(はんたばる)など、「ハンタ」が語源と思われる地名があります。ハンタは沖縄の方言で「切り立った崖や崖っぷち」「端、端っこ」という意味を持ちます。西原町坂田(さかた)は読みが「さかた」ですが、方言ではハンタと呼ばれており、同じ系統の語源と思われます。
ハンタを坂田と漢字表記し、それを訓読みしたのではないかと思われます。 沖縄は地名もそうですが、その言葉は地元の人間以外が聞いても判別不可能な言語となっています。これは過去、沖縄地方は独立した琉球王国として発展しており、本土とはまったく違う進化を遂げたためだといわれています。
沖縄県内においても、島々の距離はかなり離れており、地域が変わると方言がまったく違うという現象も起こっています。 琉球王国の分布範囲から地図を見ると、琉球列島北端の喜界(きかい)島(鹿児島県)を宮城県仙台市あたりに位置させると、那覇市は長野県松本市あたりとなります。

列島最西端の与那国島は岡山市と広島市の中間くらいに位置することになり、広大な広さに1つの国があったとしてもその方言が両端で通じないのも納得できるかと思います。
このような広大な地形の中で、島ごと・地域ごとに特有な地名もありますが「ヨナ」「カネク」のように細部は違うものの、同じ言葉・概念が共通して伝わっているのは興味深い事実です。
沖縄旅行のガイドブックには、こうした言語についての記述はほぼ無く、せいぜい挨拶の方言くらいでしょうか。旅行前に地図上を旅して、地名の由来を想像してみるのも楽しいかもしれません。

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